東芝柳町工場事件(最高裁S49.7.22)

▽労働契約法第19条(雇止め法理の法文化)に関する判例

 

■東芝柳町工場事件(概要)
 契約期間が2カ月の労働契約書を取り交わした基幹臨時工が、当該契約が

5回~23回にわたって更新された後、会社から雇止めの意思表示をされた。

★ポイント
1.臨時工は、採用基準、給与体系、労働時間、適用される就業規則等において

 本工と異なる取扱いをされ、本工労働組合に加入し得ず、労働協約の適用も

 ないが、その従事する仕事の種類、内容の点において本工と差異はない。

2.臨時工が2ヶ月の期間満了によって雇止めされた事例はなく、自ら希望して退職

 するもののほか、そのほとんどが長期間にわたって継続雇用されている。

3.会社の臨時従業員就業規則(臨就規)で1年以上継続して雇用された臨時工は、

 試験を経て本工に登用することとなっているが、

 不合格となった者でも、相当数の者が引き続き雇用されている。

4.採用に際しては、長期継続雇用、本工への登用を期待させるような言動があり、

 臨時工らも期間の定めにかかわらず継続雇用されるものと信じて契約書を取り交わ

 したのであり、本工に登用されることを強く希望していたという事情があった。

5.契約更新に当たっては、必ずしも契約期間満了の都度、直ちに新契約締結の

 手続がとられていたわけではなかった。

☆判決
 「本件各労働契約は、当事者双方ともいずれかから格別の意思表示がなければ

当然更新される意思であったものと解するのが相当であり、期間の満了毎に

当然更新を重ねてあたかも期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態で存在

していたものといえる。」
 
 「本件各雇止めの意思表示は契約を終了させる趣旨のもとにされたのであるから、

実質において解雇の意思表示にあたり、そうである以上、本件各雇止めの効力の判断

に当たっては、その実質にかんがみ、解雇に関する法理を類推すべきでものである。」

 「本件労働契約は、相互期待、相互信頼関係のもとに労働契約関係が存続、

維持されてきたものというべきであり、このような場合には、

やむを得ないと認められる特段の事情の存しないかぎり、

期間満了を理由として雇止めをすることは、信義則上からも許されない

しかるに、この点につき会社はなんら主張立証するところがない。」

 

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