労働者派遣法改正法の概要

▽平成27年9月30日施行(H27.9.11成立)

→施行日以後、一般労働者派遣事業(許可制)/特定労働者派遣事業(届出制)の区別は

廃止され、すべての労働者派遣事業が新たな許可基準に基づく許可制となる。 
※新たな許可基準については、省令や業務取扱要領等で規定される。

→期間制限のかからない専門26業種は廃止され、結果的に、有期雇用派遣か無期雇用派遣

のくくりとなる。

派遣元の留意点

1.労働者派遣事業は許可制に一本化
◆新たな許可基準

○専ら労働者派遣の役務を特定の者に提供することを目的として行われるものでないこと

○派遣労働者に係る雇用管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして次に掲げる基準に適合するもの

 であること

①派遣労働者の※キャリア形成支援制度を有すること

②教育訓練等の情報を管理した資料を労働契約終了後3年間は保存していること

③無期雇用派遣労働者を労働者派遣契約の終了のみを理由として解雇できる旨の規定がないこと。

 又、有期雇用派遣労働者についても、労働者派遣契約の終了時に労働契約が存続している派遣労働

 者については、労働者派遣契約の終了のみを理由として解雇できる旨の規定がないこと

④労働契約期間内に労働者派遣契約が終了した派遣労働者について、次の派遣先を見つけられない等

 、使用者の責に帰すべき事由により休業させた場合には、労働基準法第26 条に基づく手当を支払う

 旨の規定があること

⑤派遣労働者に対して、労働安全衛生法第59 条に基づき実施が義務付けられている安全衛生教育の

 実施体制を整備していること

⑥雇用安定措置の義務を免れることを目的とした行為を行っており、都道府県労働局から指導され、

 それを是正していない者ではないこと

○個人情報を適正に管理し、派遣労働者等の秘密を守るために必要な措置が講じられていること

○事業を的確に遂行するに足りる能力を有するものであること

→資産の総額から負債の総額を控除した額(基準資産額)が「2,000 万円×事業所数以上

 現預金額が「1,500 万円×事業所数」以上であること

 △貸借対照表、損益計算書、株主資本変動計算書で判断する。

  基準資産額=資産-負債-のれん-繰延資産

 

※キャリア形成支援制度

1.派遣労働者のキャリア形成を念頭に置いた段階的かつ体系的な教育訓練の実施計画を定めている

 こと。

○教育訓練の内容

実施する教育訓練がその雇用する全ての派遣労働者を対象としたもの

実施する教育訓練が有給かつ無償で行われるもの。(4の時間数に留意)

実施する教育訓練が派遣労働者のキャリアアップに資する内容のもの

キャリアアップに資すると考える理由については、提出する計画に記載が必要

④派遣労働者として雇用するに当たり実施する教育訓練(入職時の教育訓練が含まれたもの。

無期雇用派遣労働者に対して実施する教育訓練は、長期的なキャリア形成を念頭に置いた内容

 

2.キャリア・コンサルティングの相談窓口を設置していること

①相談窓口には、担当者(キャリア・コンサルティングの知見を有する者)が配置されている。

相談窓口は、雇用する全ての派遣労働者が利用できること。

③希望する全ての派遣労働者がキャリア・コンサルティングを受けられること

 

3.キャリア形成を念頭に置いた派遣先の提供を行う手続が規定されていること

 →派遣労働者のキャリア形成を念頭に置いた派遣先の提供のための事務手引、マニュアル等が整備

 されていること。

 

4.教育訓練の時期・頻度・時間数等

派遣労働者全員に対して入職時の教育訓練は必須であることキャリアの節目などの一定の期間

 ごとにキャリアパスに応じた研修等が用意されていること

実施時間数については、フルタイムで1年以上の雇用見込みの派遣労働者一人当たり、

 毎年概ね8時間以上の教育訓練の機会を提供すること

③派遣元事業主は上記の教育訓練計画の実施に当たって、教育訓練を適切に受講できるように

 就業時間等に配慮しなければならないこと

 

◆経過措置
(1)施行日時点で特定労働者派遣事業を営んでいる方は、

 平成30年9月29日まで、許可を得ることなく、引き続き、3年間は
  「その事業の派遣労働者が常時雇用される労働者のみである事業」を営むことが可能。

(2)施行日時点で一般労働者派遣事業を営んでいる方は、

 その許可の有効期間の間は、引き続き、事業を営むことが可能。

(3)施行日前にした許可・更新申請で、施行日時点でまだ決定がなされていないものは、  
  新法に基づく申請として扱われる。※施行日後に改めて申請は不要。

 

◆配慮措置
・小規模事業主に対しては、新たな許可の申請に当たって、一定の配慮措置が設けられる。

※小規模派遣元事業主の暫定的な配慮措置

1つの事業所のみを有し、常時雇用している派遣労働者が10人以下である中小企業事業主

→当分の間、基準資産額:1,000 万円、現預金額:800 万円

②1つの事業所のみを有し、常時雇用している派遣労働者が5人以下である中小企業事業主

→平成30 年9月29 日までの間、基準資産額:500 万円、現預金額:400 万円

事業所の面積がおおむね20 ㎡以上であること


 2.期間制限のルールが変わる。
→現在の期間制限(専門業務等のいわゆる「26業務」には期間制限がかからず、

 その他の業務には上限を原則1年(最長3年)とするもの)を見直し、

 施行日以後に締結/更新される労働者派遣契約では、すべての業務に対して

 派遣期間に次の2種類の制限が適用される。

 

① 派遣先事業所単位の期間制限

 同一の派遣先の事業所に対し、派遣できる期間は、原則、3年が限度となる。

 派遣先が3年を超えて受け入れようとする場合は、派遣先の過半数労働組合等からの意見

を聴く必要がある(1回の意見聴取で延長できる期間は3年まで)。

 

② 派遣労働者個人単位の期間制限

 同一の派遣労働者を、派遣先の事業所における同一の組織単位 (※) に対し派遣できる

期間は、原則、3年が限度となる。※ いわゆる「課」などを想定している。

△例

(1)同じ人について、 3年を超えて同じ課への派遣は×

(2)別の人の場合、 同じ課への派遣は〇
(3)課が異なれば、 同じ人の派遣は〇

 

◆配慮措置

・施行日時点ですでに締結されている労働者派遣契約については、その労働者派遣契約が終了

するまで、改正前の法律の期間制限が適用される。


期間制限の対象外となる例外
①派遣元で無期雇用されている派遣労働者を派遣する場合   

60歳以上の派遣労働者を派遣する場合

③終期が明確な有期プロジェクト業務に派遣する場合

④日数限定業務(1ヵ月の勤務日数が通常の労働者の半分かつ10日以下)に派遣する場合

産前産後・育児・介護休業等を取得する労働者の業務に派遣する場合

 

3.派遣元事業主に新たに課される内容

(1)雇用安定措置の実施
 派遣元は、同一の組織単位に継続して3年間派遣される見込みがある方に対し、派遣終了後

の雇用を継続させる措置(雇用安定措置)を講じる義務がある。
(1年以上3年未満の見込みの方については、努力義務。)

◆雇用安定措置

  ① 派遣先への直接雇用の依頼
  ② 新たな派遣先の提供(合理的なものに限る)
  ③ 派遣元での(派遣労働者以外としての)無期雇用
  ④ その他安定した雇用の継続を図るための措置 
      ※雇用を維持したままの教育訓練、紹介予定派遣等、省令で定めるもの
→雇用安定措置として①を講じた場合で、直接雇用に至らなかった場合は、別途②~④の措置を講じる必要がある。

 

(2)キャリアアップ措置の実施
 派遣元は、雇用している派遣労働者のキャリアアップを図るため、
・段階的かつ体系的な教育訓練
・希望者に対するキャリア・コンサルティング
を実施する義務がある。 
→特に、無期雇用派遣労働者に対しては、長期的なキャリア形成を視野に入れた教育訓練を実施する必要がある。
 

(3)均衡待遇の推進
 派遣元は、派遣労働者から求めがあった場合、以下の点について、派遣労働者と派遣先で

同種の業務に従事する労働者の待遇の均衡を図るために考慮した内容を説明する義務がある。

  ① 賃金の決定
  ② 教育訓練の実施
  ③ 福利厚生の実施

↔派遣労働者が説明を求めたことを理由として不利益な取り扱いをしてはならない。

 

派遣先との派遣料金交渉が派遣労働者の待遇改善にとって極めて需要であることを踏まえ

 交渉にあたることが重要である。

※派遣労働者のキャリアアップの成果を賃金表に反映させることが望まれる。

 

(4)派遣元管理台帳に記載する事項
 派遣元管理台帳に記載する事項に、以下の項目等が追加される。
・無期雇用派遣労働者であるか有期雇用派遣労働者であるかの別
・雇用安定措置として講じた内容
・段階的かつ体系的な教育訓練を行った日時および内容

 

4.労働契約申込みみなし制度

→平成27年10月1日から、労働契約申込みみなし制度が施行される。
 派遣先が次に掲げる違法派遣を受け入れた場合、その時点で、派遣先が派遣労働者に対

して、その派遣労働者の派遣元における労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約の

申込みをしたものとみなされる。   
(▲違法派遣について、派遣先が善意無過失である場合を除く。)

 

◆労働契約申込みみなし制度の対象となる違法派遣
  ①労働者派遣の禁止業務に従事させた場合
  ②無許可の事業主から労働者派遣を受け入れた場合
  ③派遣可能期間を超えて労働者派遣を受け入れた場合 (※)
  ④いわゆる偽装請負の場合
※期間制限違反について 
・新たに設けられる事業所単位・個人単位の2つの期間制限のどちらに違反した場合も、 

労働契約申込みみなし制度の対象となる。 
・派遣元は、派遣労働者に対して就業条件などを明示する際に、期間制限違反が労働契約

申込みみなし制度の対象となる旨も明示しなければならない。 
・改正法の施行日(9/30)時点ですでに行われている労働者派遣については、改正前の期間

制限が適用され、制限を超えて派遣労働者を使用しようとするときは、改正前の法律の労働

契約申込み義務の対象となる。(▲労働契約申込みみなし制度の対象とはならない) 

派遣先の留意点

1.派遣労働者と派遣先社員の均衡待遇の推進
 派遣先は、派遣労働者と派遣先で同種の業務に従事する労働者の待遇の均衡を
図るため、以下の点で配慮義務が課され、具体的な行動を行う必要がある。

 

◆派遣労働者と派遣先社員の均衡待遇の推進

・派遣元事業主に対し、派遣先の労働者に関する賃金水準の情報提供等を行うこと 
・派遣先の労働者に業務に密接に関連した教育訓練を実施する場合に、 
派遣労働者にも実施すること 

派遣労働者に対し、派遣先の労働者が利用する一定の福利厚生施設の利用の機会を与えること 
※配慮義務とは、目的の実現に向け、具体的に取り組むことが求められるものであり、 
努力義務よりも強い責務が課されるものである。 

 

2.期間制限のルールが変わる(派遣元と同じ)

 

3.意見聴取手続

 派遣の受入れの継続の是非について、労使間で実質的な話合いを行うことが重要である。

→事業所単位の期間制限による3年の派遣可能期間を延長する場合、派遣先は、
その事業所の過半数労働組合等 (※) に対して意見を聴く必要がある。 
 (※過半数労働組合が存在しない場合、事業所の労働者の過半数を代表する者)

 

◆意見聴取の流れ
・意見聴取は、期間制限の上限に達する1ヶ月前までに行うことが必要である。 
・過半数労働組合等から異議が示されたときは、対応方針等を説明する義務がある。

 

4.派遣労働者のキャリアアップ支援

・キャリアアップ支援に必要な情報の提供

→派遣先は、派遣元から求めがあったときは、派遣元によるキャリアアップ支援に資する

よう、派遣労働者の職務遂行状況や、職務遂行能力の向上度合などの 情報を提供する努力義務

がある。
・雇入れ努力義務
→派遣労働者を受け入れていた組織単位に、派遣終了後、同じ業務に従事させる ため

新たに労働者を雇い入れようとする際、一定の場合には、その派遣労働者 を雇い入れるよう

努めなければならない。
・正社員の募集情報の提供義務

→派遣先の事業所で正社員の募集を行う際、一定の場合には、受け入れている派遣労働者に

対しても、その募集情報を周知しなければならない。
・労働者の募集情報の提供義務

→正社員に限らず、派遣先の事業所で労働者の募集を行う際、一定の場合には、受け入れて

いる派遣労働者に対しても、その募集情報を周知しなければならない。

5.労働契約申込みみなし制度(派遣元と同じ)
 平成27年10月1日から、労働契約申込みみなし制度が施行される。

 

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