川義事件(最高裁S59.4.10)

▽労働契約法第5条(労働者の安全への配慮)に関する判例

 

■川義事件(概要)
 宿直勤務中の従業員が盗賊に殺害された事例で、

会社に安全配慮義務の違背に基づく損害賠償責任があるとされた。

★ポイント
1.会社には、昼夜高価な商品が多数かつ開放的に陳列、保管されていて、

 休日又は夜間には盗賊が侵入するおそれがあつた。

2.当時、現に商品の紛失事故や盗難が発生したり、

 不審な電話がしばしばかかってきていた。

 

3.会社は、社員一人に対し昭和53年8月13日午前9時から

 24時間の宿直勤務を命じ、宿直勤務の場所を本件社屋内、

 就寝場所を同社屋一階商品陳列場と指示した。
 
4.侵入した盗賊が宿直員に発見されたような場合には宿直員に危害を加えることも

 十分予見できたにもかかわらず、盗賊侵入防止のためののぞき窓、インターホン、

 防犯チェーン等の物的設備や侵入した盗賊から危害を免れるために役立つ防犯ベル

 等の物的設備を施していなかった。
 
5.盗難等の危険を考慮して休日又は夜間の宿直員を新入社員一人としないで

 適宜増員するとか宿直員に対し十分な安全教育を施すなどの措置を講じていなかった。

☆判決
 「使用者は、報酬支払義務にとどまらず、労働者が労務提供のため設置する場所、

設備もしくは器具等を使用し又は使用者の指示のもとに労務を提供する過程に

おいて、労働者の生命及び身体等を危険から保護するよう配慮すべき義務

(=「安全配慮義務」)を負っている。」
 
「宿直勤務中に盗賊等が容易に侵入できないような物的設備を施し、かつ、万一
盗賊が侵入した場合は盗賊から加えられるかも知れない危害を免れることができる

ような物的施設を設けるとともに、これら物的施設等を十分に整備することが困難

であるときは、宿直員を増員するとか宿直員に対する安全教育を十分に行うなどし、

もって物的施設等と相まって労働者たる宿直員の生命、身体等に危険が及ばないよう

に配慮する義務があった。」

 

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