入管法改正と外国人雇用(平成31年4月1日施行)

▽改正入管法と外国人労働者雇用のポイント

 中小企業等の少子高齢化による深刻化している人手不足の一助として、生産性向上や国内人材確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野において、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく目的で、在留資格「特定技能1号・2号」が創設された。

 

■従来の入管法と外国人雇用

 従来、就労が認められる在留資格としては、「高度専門職1号・2号」、「技術・人文知識・国際業務」など、外国人雇用については、原則として高度な専門的・技術的分野に限られていました。あるいは、人材育成を通じた技術移転が目的であり、人手不足の穴埋めとして雇用することが禁止されている技能実習生に頼ってきた部分もある。

 

■これからの入管法と外国人雇用

 従来は単純労働として認められていなかった就労活動について、人材確保が困難な状況にある産業分野において、在留資格「特定技能1号・2号」を創設し、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を雇用することが可能となった。

 悪質なブローカーを排除するための2国間協定を結ぶ。当面、ベトナム▽フィリピン▽カンボジア▽インドネシア▽タイ▽ミャンマー▽ネパール▽中国▽モンゴル-の9カ国を想定している。

 5年間で受け入れる34万人超は「上限として運用する」と明記したほか、人手不足が解消した分野は受け入れ対象から外す。改正法施行後2年をめどに見直す。

 

■特定技能1号・2号とは

 特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務(特定技能1号)又は熟練した技能を要する業務(特定技能2号)に従事する外国人向けの在留資格

 

■特定産業分野

 介護、ビルクリーニング、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業、

建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業の14分野(但し、特定技能2号は建設、造船・舶用工業のみ)

 

■特定技能1号・2号のポイント

 

特定技能1号

特定技能2号

在留期間

1年、6ヵ月又は4ヶ月更新、通算上限5年

3年、1年又は6ヵ月更新

技術水準

試験等で確認。但し、技能実習2号修了者は免除

試験等で確認

日本語能力水準

確認不要

家族帯同

不可

可能(配偶者・子)

受入れ期間の支援

支援対象

支援対象外

 

 ※ただし、4月時点で技能試験を導入するのは、宿泊、介護、外食の3業種のみ。当面は試験を免除された技能実習生からの移行が大半となる。

 

■事業者が実務上注意すべきポイント

1.事業者は、外国人と、次の基準に適合した「特定技能雇用契約」を締結しなければならない。

(1)報酬額は日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上であること

(2)所定労働時間が、通常労働者と同等であること

(3)一時帰国を希望した場合,休暇を取得させること

(4)報酬,福利厚生施設の利用等の待遇で差別的取扱いをしていないこと

(5)外国人が帰国旅費を負担できないときは、事業者が負担するとともに必要な措置を講ずること

(6)外国人の健康状況その他の生活の状況を把握するために必要な措置を講ずること等

 

2.事業者は、さらに次の基準に適合していなければならない。

(1)労働・社会保険、租税に関する法令遵守

(2)1年以内に、特定技能外国人と同種の業務に従事していた労働者の非自発的離職がない。

(3)1年以内に事業者の事由による行方不明者を発生させていない。

(4)欠格事由(5年以内に出入国又は労働法令違反がな等)に該当しない等

 

3.事業者は、次のような職業生活上,日常生活上,社会生活上の支援の実施に関する

 「1号特定技能外国人支援計画」を作成しなければならない。又、支援は外国人が十分

 理解できる言語で実施する必要がある。ただし、事業者は支援計画の全部又は一部を「登録支援機関」に委託することもできる。

(1)入国前の情報提供

(2)出入国の送迎

(3)住宅の確保、口座開設、携帯電話の利用

(4)日本語学習機会の提供等

  

4.事業者は、次に該当するときは、出入国在留管理庁に各種届出をしなければならない。

(1)特定技能雇用契約の締結・変更・終了

(2)1号特定技能外国人支援計画の変更

(3)1号特定技能外国人支援計画の登録機関への委託契約の締結・変更・終了等

  

■コメント

 今回の改正により、日本に在留する外国人のさらなる増加が予想されます。法務省内の入国管理局も「出入国在留管理庁」に名称変更され、格上げされました。しかしながら、優秀な外国人労働者を雇用することは容易なことではありません。ライバルは日本国内だけではないからです。従来の選ぶ立場から、選ばれる立場に変わっていることを肝に銘じるべきであろう。

 

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