精神障害等の労災認定基準(判断指針)

H21/4/6~一部改正
▽うつ病等と労災

 

1.基準策定の背景
 最近、仕事のストレス(業務による心理的負荷)が原因で精神障害になった、あるいは

自殺したとして労災請求されるケースが増えている。
 そこで、厚生労働省では、精神障害等の労災請求事案の業務上・外を判断するため、
「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針」を示した。
 
2.精神障害の発病要因
 労働者に発病する精神障害は、次の事項が複雑に関係しあって発病するとされている。
●事故や災害の体験、仕事の失敗、過重な責任の発生等の業務による心理的負荷

●自分の出来事等の業務以外の心理的負荷

●精神障害の既住歴等の個体側要因

3.精神障害の業務上・外の判断の基本的考え方
(1)業務上・外の判断に当たっての具体的に検討事項
●精神障害の発病の有無、発病時期及び疾患名の確認

●業務による心理的負荷の強度の評価

●業務以外の心理的負荷の強度の評価

●個体側要因の評価

(2)判断要件
 次の要件のいずれをも満たす精神障害を、業務上の疾病として取り扱う。
●判断指針で対象とされる精神障害を発病している。

発病前おおむね6ヶ月の間に、客観的に当該精神障害を発病させるおそれのある
業務による強い心理的負荷が認められる。

業務以外の心理的負荷及び個体側要因により当該精神障害等を発病したとは認められない。

 

(3)判断指針で対象とされる精神障害とは?
  主として業務が関連する可能性のある精神障害は、うつ病等気分(感情)障害、

 重度ストレス反応等ストレス関連障害など。

4.業務による心理的負荷の評価方法
  「職場における心理的負荷評価表」を用い、業務による心理的負荷の強度を評価し、
 精神障害を発病させるおそれがある程度の心理的負荷であるかどうかを検討する。
●「出来事」自体の心理的負荷の評価
 まず、精神障害の発病前おおむね6ヶ月の間に、その精神障害の発病に関与したと

思われる業務による「出来事」としてどのようなものがあったのかを具体的に把握する。
 
●平均的な心理的負荷の強度の修正
 次に、その「出来事」の実際の内容や程度により、必要があれば心理的負荷の強度を

修正する。その時、恒常的な長時間労働があると認められる場合には、

強度はより強いものに修正する。

●「出来事に伴う変化等」に係る心理的負荷の評価
 出来事が起こった後、出来事に伴う変化はどの程度持続、拡大、改善したのか

を検討し、「出来事に伴う変化等」の心理的負荷を評価する。

 □検討する項目
  仕事の量(労働時間等)の変化 、仕事の質の変化、仕事の責任の変化、
 仕事の裁量性の欠如 、職場の物的・人的環境の変化 、
 会社の講じた支援の具体的内容・実施時期等 、その他

●総合評価
 「出来事」及び「出来事に伴う変化等」の心理的負荷が、

総合的に評価して「弱」「中」「強」のいずれと認められるかを判断する。
 この場合、総合評価が「強」と認められれば精神障害を発病させるおそれがある程度の
心理的負荷とする。「強」と認められる程度の心理的負荷とは次の場合。
(1)修正された心理的負荷の強度が「III」と評価される「出来事」に直面し、

  かつ、その「出来事に伴う変化等」に係る心理的負荷が相当程度過重であると

  評価される場合
  * 「相当程度過重」とは、同種の労働者と比較して業務内容が困難で、

   業務量も過大である等が認められる状態。

(2)修正された心理的負荷の強度が「II」と評価される「出来事」に直面し、かつ、
  その「出来事に伴う変化等」に係る心理的負荷が特に過重と評価される場合
  *「特に過重」とは、同種の労働者と比較して業務内容が困難で、

   恒常的な長時間労働が認められ、かつ、過大な責任の発生、支援・協力の欠如等

   特に困難な状況が認められる状態。

●特別な出来事の評価
 業務による心理的負荷の強度は、基本的に上記により総合評価されるが、

次の(1)~(3)のいずれかの事実が認められる場合には、

上記にかかわらず総合評価を「強」とすることができる。
(1)生死に関わる事故への遭遇等心理的負荷が極度のもの

(2)業務上の傷病によりおおむね6ヶ月を超える期間にわたって療養中の者に発病した
 精神障害については、症状が急変し極度の苦痛を伴った場合など

(3)極度の長時間労働、例えば数週間にわたり生理的に必要な最小限度の睡眠時間を
 確保できないほどの長時間労働により、心身の極度の疲弊、消耗を来し、

 それ自体がうつ病等の発病原因となるおそれのあるもの

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5.一部改正(平成21年4月6日)
 労働環境の急激な変化等により、業務の集中化による心理的負荷、職場でのひどい

いじめによる心理的負荷など、新たな心理的負荷が生ずる出来事が認識され、評価表における具体的出来事への当てはめが困難な事案が少なからず見受けられるようになり、検討会を設け、評価表に係る具体的出来事の追加又は修正等が検討された。

★追加12項目
(1)「違法行為を強要された」
 食品偽装、賞味期限の改ざん、欠陥製品の製造等、法令に違反する行為を強要された

場合などの心理的負荷を評価する項目

(2)「自分の関係する仕事で多額の損失を出した」
 金融機関における株取引による損失など、自身のミスによらない大きな損失を出した

場合の心理的負荷を評価する項目

(3)「顧客や取引先から無理な注文を受けた」
 顧客等の立場が強くなっている現在社会情勢等を反映して発生する顧客や取引先

からの無理な注文を受けた場合の心理的負荷を評価する項目

(4)「達成困難なノルマが課された」
 納期、工期、売り上げ目標など会社の中に存在するさまざまなノルマについて、

ノルマが課された時点における心理的負荷を評価する項目

(5)「研修、会議等の参加を強要された」
 「強要された」は、担当業務と研修、会議等の内容との関連など客観的事実により

強要といえるのかを着眼点として、研修や会議等の参加をされた場合の心理的負荷を

評価する項目

(6)「大きな説明会や公式の場での発表を強いられた」
 発表を強いられた心理的負荷に着目して評価する項目

(7)「上司が不在になることにより、その代行を任された」
 上司が不在となり、本来業務と併せて上司が行っていた業務の代行を任された場合

の心理的負荷を評価する項目

(8)「早期退職制度の対象となった」
 早期退職制度の対象となった場合の心理的負荷を評価する項目

(9)「複数名で担当していた業務を一人で担当するようになった」
 これまで複数名で担当していた業務の組織再編等により一人で担当することになった

場合の心理的負荷を評価する項目

(10)「同一事業場内での所属部署が統廃合された」
 同一事業場内で組織再編等により部課などが統廃合された場合の心理的負荷を

評価する項目

(11)「担当でない業務として非正規社員のマネージメント、教育を行った」
 非正規社員の増加を背景に、自分の属するラインに非正規社員が配置され、

課長、係長などの管理する立場にあるもの以外のものが、これら非正規社員の

マネージメント、教育を行った場合の心理的負荷を評価する項目

(12)「ひどい嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」
 ひどい嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた場合の心理的負荷を評価する項目

 

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