労使協定方式に関するQ&A ▽令和元年8月19日厚生労働省公表
▲労使協定の締結について
Q1.労使協定は施行日(2020年4月1日)前に締結することは可能か。
A1.働き方改革関連法(平成30年改正派遣法)の施行日前に、派遣元事業主が過半数労働組合又は過半数代表者との間で法第 30 条の4第1項の協定を締結することは可能である。
なお、当然のことながら、効力が発生するのは、施行日以降である。
Q2.施行日前から締結している労働者派遣契約について、「派遣労働者を協定対象派
遣労働者に限定するか否かの別」などを新たに記載する必要があるが、労働者派遣
契約を新たに締結し直す必要があるのか。
A2.労働者派遣契約を新たに締結し直すことまで求めるものではないが、施行日までに労働者派遣契約の変更等により、新たに労働者派遣契約の締結事項となった「派遣労働者が従事する業務に伴う責任の程度」及び「派遣労働者を協定対象派遣労働者に限定するか否かの別」を労働者派遣契約に定めておかなければならない。
Q3.数か所の事業所を労使協定の一つの締結単位とすることは可能か。(例:関東地
方に所在する事業所で労使協定を締結)
A3.差し支えない。
ただし、待遇を引き下げることなどを目的として、数か所の事業所を一つの締結単位とすることは、労使協定方式の趣旨に反するものであり、適当ではなく、認められない。
また、この場合、比較対象となる一般賃金を算定する際の地域指数については、協定対象派遣労働者の派遣先の事業所その他派遣就業の場所の所在地を含む都道府県又は公共職業安定所管轄地域の指数を選択すること。
さらに、数か所の事業所を労使協定の一つの締結単位とする場合、派遣労働者が多数となり、派遣先の業種、派遣先地域も多岐にわたって賃金体系等が複雑となり、複数の事業所の派遣労働者全体の利益を適切に代表する過半数代表者を選出することが困難となる可能性があることから、数か所の事業所を労使協定の締結単位とする場合には、過半数代表者が民主的手続に基づいて選出されるよう、特に留意する必要がある。仮に過半数代表者を適切に選出していないと認められた場合には労使協定方式が適用されず、法第 30 条の3の規定に基づき、派遣先に雇用される通常の労働者との均等・均衡待遇を確保しなければならないことに留意。
Q4.派遣労働者は各々異なる派遣先に派遣されており、労使協定を締結する過半数代
表者の選出が困難であるが、どのように選出すればよいか。
A4.例えば、派遣労働者の賃金明細を交付する際や派遣元事業主が派遣先を巡回する際に、労使協定の意義や趣旨を改めて周知するとともに、立候補の呼びかけや投票用紙の配付、社内のイントラネットやメールにより立候補の呼びかけや投票を行わせることが考えられる。
なお、派遣元事業主は、過半数代表者が労使協定の事務を円滑に遂行することができるよう必要な配慮を行わなければならない(労働者派遣法施行規則第 25 条の6第3項)。この「必要な配慮」には、例えば、過半数代表者が労働者の意見集約等を行うに当たって必要となる事務機器(イントラネットや社内メールを含む。)や事務スペースの提供を行うことが含まれる。
また、労働基準法 36 条に基づく時間外・休日労働に関する協定の締結や、同法 89 条に基づく就業規則の作成又は変更を行う場合にも、(過半数労働組合が存在しない場合は)当然に過半数代表者の選出が必要である。
Q5.労使協定には、派遣労働者の賃金の額のほか、その比較対象となる一般賃金の額を記載するはあるのか。
A5.貴見のとおり。
法第 30 条の4第1項第2号イにより、一般賃金の額と同等以上である協定対象派遣労働者の賃金の決定の方法を定めることとされているため、同等以上であることが客観的に明らかとなるよう、協定対象派遣労働者の賃金の額に加え、その比較対象となる一般賃金の額も記載することが必要である。
Q6.労使協定には具体的な内容を定めず、就業規則、賃金規程等によることとする旨を定めることとしてよいか。
A6.差し支えない。
なお、当然のことながら、法第 30 条の4第1項各号に掲げる事項(労使協定に定めるべき事項)については、労使協定自体に具体的に定めなかったとしても、就業規則、賃金規程等に具体的に定めることにより、労使協定自体、就業規則、賃金規程等でこれらの事項を網羅的に定めることが必要である。
また、派遣元事業主は、法第 23 条第5項に基づき、厚生労働大臣に毎年度提出する事業報告書に労使協定を添付しなければならないこととされているところ、法第 30 条の4第1項各号に掲げる事項が労使協定自体ではなく、就業規則、賃金規程等に定められている場合には、労使協定本体に加えて、労使協定で引用している就業規則、賃金規程等もあわせて事業報告書に添付しなければならない。
Q7.労使協定の有効期間中に、一般賃金の額が変わった場合、労使協定を締結し直す必要があるのか。
A7.労使協定の有効期間中に一般賃金の額が変わった場合には、有効期間中であっても労使協定に定める派遣労働者の賃金の額が一般賃金の額と同等以上の額であるか否か確認することが必要。 派遣労働者の賃金額が一般賃金の額と同等以上の額でない場合には、労使協定に定める賃金の決定方法を変更するために労使協定を締結し直す必要がある。一方、派遣労働者の賃金額が一般賃金の額と同等以上の額である場合には、派遣元事業主は、同額以上の額であることを確認した旨の書面を労使協定に添付する。
▲基本給・賞与・手当等について
Q1.基本給は、どのように時給換算をすればよいか。
A1.例えば、月給制の場合には、次の方法により計算することが考えられる。
計算方法①:月給 × 12 月 ÷ 52 週 ÷ 週の所定労働時間
計算方法②:月給 ÷ その月の所定労働時間数(月によって所定労働時間が異
なる場合には、一年間における一月平均所定労働時間数)
Q2.職種別の基準値(①)×能力・経験調整指数(②)×地域指数(③)で計算して
算出された数字と、局長通知の別添1又は別添2の数値(①×②)×地域指数
(③)で計算して算出された数字が異なることがある。どちらを使用すればよい
か。
A2.別添1又は別添2の数値(①×②)×地域指数(③)を用いる。
Q3.賃金に含まれない「時間外、休日及び深夜の労働に係る手当等」の「等」とは何
を指すのか。
A3.「等」には、宿日直手当(本来の職務外としての宿日直勤務に対して支給される給与)及び交替手当(臨時に交替制勤務の早番あるいは後番に対して支給される交替勤務給など、労働時間の位置により支給される給与)が含まれる。
Q4.一般基本給・賞与等の額が最低賃金を上回っているかの判断において、この最低賃金とは、①実際に賃金が支払われる時点のもの、②労使協定が締結される時点のもの、③局長通達で公表されている賃金構造基本統計調査や職業安定業務統計の年度のもののいずれであるか。
A4.①の時点の最低賃金を上回っているかを確認しなければならない。
Q5.「職種別の賃金×能力・経験調整指数×地域指数」の結果、地域別最低賃金の額
を超えているが、それに対応する「基準値(0年)」は地域別最低賃金の額を下
回っている。この場合、協定対象派遣労働者との比較に「基準値(0年)」を使
わないのであれば、問題ないか。
A5.ご指摘の場合には、地域別最低賃金の額を「基準値(0年)」とした上で、当該
額に能力・経験調整指数を乗じたものと同等以上の額としなければならない。
なお、特定最低賃金の場合も、同様の取扱いである。
Q6.賃金構造基本統計調査と職業安定業務統計に同様の職種がある場合(例えば、測量技術者等)、どちらを選択すればよいのか。
A6.賃金構造基本統計調査の職種については、「役職及び職種解説」において、職業安定業務統計の職種については「第4回改訂 厚生労働省編職業分類 職業分類表 改訂の経緯とその内容(独立行政法人 労働政策研究・研修機構)」において、それぞれ職種の具体的な内容を解説している。
これらをもとにして、派遣労働者の業務がこれらの政府統計のいずれの職種と一致するのか、近いのかについて、労使で十分に議論し、比較対象とする職種を決定することが求められる。
なお、協定対象派遣労働者の賃金を引き下げることなどを目的に、職種ごとに統計などを使い分けることは労使協定方式の趣旨に照らして適切ではなく、認められないことに留意。
Q7.能力・経験調整指数について、1年、2年、3年、5年、10 年、20 年が示されているが、協定対象派遣労働者の能力及び経験を踏まえた結果、例えば「4年」、「8年」、「15 年」など、能力・経験調整指数として具体的に示されてない年数になった場合は、一般賃金をどのように算出すればよいか。
A7.統計上の制約から、能力・経験調整指数として、1年、2年、3年、5年、10 年、20 年を示しており、原則として、この指数から選択することとなる。
一方、ご指摘のように、派遣労働者の能力及び経験が「4年」、「8年」、「15 年」に相当する場合には、労使で十分に議論した上で、これらの年数に相当する額を算出することも差し支えないが、「4年」あれば3年、「8年」であれば5年、「15 年」であれば10 年、それぞれに相当する額を超えるものでなければならない。
Q8.能力・経験調整指数について、例えば、勤続が5年目の協定対象派遣労働者につ
いては、必ず「5年」の指数を使用しないといけないのか。
A8.能力・経験調整指数の年数は、派遣労働者の勤続年数を示すものではないため、ご指摘の場合に、必ず「5年」にしなければならないものではない。
例えば、職務給の場合には、派遣労働者が従事する業務の内容、難易度等が、一般の労働者の勤続何年目に相当するかを労使で判断いただくこととなる。
なお、待遇を引き下げることなどを目的として、低い能力・経験調整指数を使用することは、労使協定方式の趣旨に反するものであり、適当ではなく、認められない。
Q9.複数の地域に派遣している場合、その複数の地域の地域指数の平均値を使うことは可能か(例えば、東京 114.1 と埼玉 105.5 に派遣される可能性があるので、109.8 を使う)。
A9. 認められない。
派遣先の事業所等ごとに当該事業所等の所在地に係る地域指数を乗じて算出した一般賃金の額と同等以上でなければならない。
例えば、ご指摘の例の場合、東京都に派遣されている間の賃金は、東京又は東京都内のハローワークの地域指数を乗じて算出した一般賃金の額、埼玉県に派遣されている間の賃金は、埼玉又は埼玉県内のハローワークの地域指数を乗じて算出した一般賃金の額と同等以上でなければならない。
Q10.賞与等の「①直近の事業年度において協定対象派遣労働者に支給された額の平均
額」、「②協定対象派遣労働者に支給される見込み額の平均額」、「③標準的な
協定対象派遣労働者に支給される額」はどのように定めるのか。
A10. ①については、直近の事業年度に協定対象派遣労働者の範囲に含まれる者に対して支給された額の合計額を、当該事業年度の当該者の所定内労働時間の合計額で除した額とすることが考えられる。
②については、例えば、業績により支給総額が変動する賞与について、来年度に支給される賞与総額を協定対象派遣労働者の想定される所定内労働時間の合計額で除した額とすることが考えられる。
③については、例えば、職務評価により支給額が変わる賞与について、標準的な評価の協定対象派遣労働者に対する賞与の額とすることが考えられる。
Q11. 賞与・手当等は、平均額等で代替可能であるが、仮に一部の協定対象派遣労働者
への支給額が過大な場合(例:一部の協定対象派遣労働者のみに対し、家族手当
を多く支給している場合)、協定対象派遣労働者の支給額の中央値を使うなどの
方法は可能か。
A11.認められる。ただし、平均値より中央値が高い場合は、原則どおり、平均値を使うこと。
Q12. 賞与・手当等については、当該賞与・手当等を支給していない協定対象派遣労働
者も含めての平均額としなければならないのか。又は、当該賞与・手当等を支給
している協定対象派遣労働者の平均額でも構わないのか。
A12. 当該賞与・手当等を支給していない協定対象派遣労働者を含めての平均額としなければならない。
Q13. 協定対象派遣労働者の賃金の決定方法について、職務の内容、職務の成果、意
欲、能力、経験等の向上により賃金が改善されるものでなければならない、とい
う要件(法第 30 条の4第1項第2号ロ)があるが、例えば、職務の成果を勘案
したときに、賃金が改善されないことは認められないのか。
A13. 法第 30 条の4第1項第2号ロは、職務の成果等の就業の実態に関する事項の「向上」があった場合の対応として、賃金を改善することについて規定しているものであるため、公正な評価の結果、仮に職務の成果等の「向上」がないと認められる場合に賃金の改善が行われなかったとしても、同ロとの関係で直ちに問題となるものではない。
なお、法第 30 条の4第1項第3号に基づき、職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項を公正に評価し、協定対象派遣労働者の賃金を決定することが求められることは言うまでもない。
▲通勤手当
Q1.通勤手当について、実費支給により「同等以上」を確保する場合、通勤手当の上限額を協定対象派遣労働者の平均的な所定内労働時間1時間当たりに換算した額が「72 円」以上であることが必要であるが、この「上限額を協定対象派遣労働者の平均的な所定内労働時間1時間当たりに換算した額」はどのように計算して導き出せばよいのか。
A1.「上限額を協定対象派遣労働者の平均的な所定内労働時間1時間当たりに換算した額」の計算方法については、労使で合意されたものである必要があるが、例えば、一月当たりの上限額が設けられている場合、当該上限額を協定対象派遣労働者の一月当たりの所定内労働時間の平均で割ることが考えられる。
Q2.通勤手当を支払っていない場合に、一般賃金と同等以上の額を確保するために
は、どうすればよいか。
A2.通勤手当を支払っていない場合には、協定対象派遣労働者の賃金(退職金を除く。)の額が、一般基本給・賞与等の額に一般通勤手当「72 円」を加えた額と同等以上であることが必要である。
Q3.実費支給で通勤手当を支払っているが、例えば、派遣就業の場所と居住地の間の
距離が1㎞未満である場合を「徒歩圏内」とし、通勤手当を支給していない場
合、どのように取り扱えばよいか。
A3.派遣就業の場所と居住地の間の距離が1㎞未満である場合を「徒歩圏内」として通勤手当を支給しないことを労使で合意し、その他の場合を実費支給している場合には、局長通知第2の2の(1)の実費支給と解される。
「徒歩圏内」の距離については、(人事院規則(原則として2㎞未満の場合には通勤手当は支給しない)等を参考にしつつ、)労使で判断するものである。
▲退職金
Q1.退職手当制度により一般賃金と比較する場合、退職金の支給要件となる勤続年数の起算点は、協定対象派遣労働者を雇用した時点、施行時点など、いつになるのか。
A1.特段の定めはない。労使で十分に議論した上で退職金の支給要件である勤続年数の起算点を決定することが求められる。
Q2.協定対象派遣労働者が高齢者であり、前職で退職金が支払われている者、再雇用
である者であれば、退職金を支給しなくても問題ないか(一般退職金と同等以上
の額としなくてもよいか。)。
A2.労使で十分に議論した上で判断することが望まれる。
労使協定方式に関するQ&A【第2集】 ▽令和元年11月1日厚生労働省公表
▲労使協定の締結
Q1.現在、協定対象派遣労働者の賃金の額が一般賃金の額を上回るものとなっている場合、一般賃金の額の水準に変更する対応は可能か。
A1.協定対象派遣労働者の賃金の額については、一般賃金の額と比較し「同等以上」であることを求めるものであることから、現在、協定対象派遣労働者の賃金の額が一般賃金の額を上回るものとなっていることを理由に、賃金を引き下げることは、派遣労働者の待遇改善を図ることを目指す改正労働者派遣法の目的に照らして問題である。
Q2.労使協定を締結する際に協定対象労働者の範囲を定めることとなっているが、派遣先の希望等により、個別に、協定対象派遣労働者の待遇決定方式を派遣先均等・均衡方式に変更することとしてもよいか。
A2.労使協定方式は、派遣労働者の長期的なキャリア形成に配慮した雇用管理を行うことができるようにすることを目的としたものである。そのため、派遣先の変更を理由として、協定対象派遣労働者であるか否かを変更することは、その趣旨に反するおそれがあり、適当ではない。
また、当然のことながら、待遇を引き下げることを目的として、派遣先ごとに待遇決定方式を変更することは、改正労働者派遣法の趣旨に反するものであり、適当ではない。
一方、待遇決定方式を変更しなければ派遣労働者が希望する就業機会を提供できない場合であって当該派遣労働者から合意を得た場合等のやむを得ないと認められる事情がある場合などは、この限りでない。
Q3.「協定対象派遣労働者の範囲」について、一の事業所において、原則はその全ての派遣労働者に「労使協定方式」を採用するが、紹介予定派遣の対象者のみ、派遣先均等・均衡方式とすることは問題ないか。
A3.紹介予定派遣とそれ以外の派遣労働者との間で、待遇決定方式を分けることは、合理的な理由があれば、労働者派遣法上直ちに否定されるものではない。
なお、単に賃金水準を引き下げることを目的に、紹介予定派遣とそれ以外の派遣労働者で待遇決定方式を変えることは、労使協定方式の趣旨に反するものであり、適当ではない。
▲基本給・賞与・手当等
Q1.固定残業代は、一般賃金と同等以上を確保する協定対象派遣労働者の賃金の対象としてよいか。
A1.局長通達第1の2(2)のとおり、協定対象派遣労働者の賃金の対象に時間外、休日及び深夜の労働に係る手当等が含まれないことを踏まえ、固定残業代についても協定対象派遣労働者の賃金の対象とすることは適当ではない。
一方で、直近の事業年度において、実際の時間外労働等に係る手当を超えて支払われた固定残業代については、協定対象派遣労働者の賃金の対象とすることが可能であるが、労使で十分に議論した上で判断いただくことが望まれる。
なお、固定残業代を採用する場合、基本給等の金額が労働者に明示されていることを前提に、割増賃金に当たる部分の時間外労働の時間数又は金額を書面等で明示するなどして、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを明確に区別できるようにするとともに、固定残業代に含まれた時間を超える時間外・休日労働及び深夜労働分についての割増賃金を追加で支払う必要がある点に留意。
Q2.派遣元事業主が地域指数を選択する際、「派遣先の事業所その他派遣就業の場所」は具体的にどのように判断すればよいか。
A2.「派遣先の事業所その他派遣就業の場所」については、工場、事務所、店舗等、場所的に他の事業所その他の場所から独立していること、経営の単位として人事、経理、指導監督、労働の態様等においてある程度の独立性を有すること、一定期間継続し、施設としての持続性を有すること等の観点から実態に即して判断することとなり、常に雇用保険の適用事業所と同一であるわけではない。
Q3.協定対象派遣労働者が複数の地域に派遣される可能性がある場合、一の労使協定において、複数の地域指数を乗じた一般賃金の額を記載するとともに、それぞれの一般賃金の額に対応する協定対象派遣労働者の賃金の額を記載し、同等以上であることを確認する必要があるのか。
A3.原則は、派遣される可能性のある派遣先事業所の所在地を含む地域の地域指数を乗じた各一般賃金の額と、それに対応する協定対象派遣労働者の賃金の額を記載し、同等以上であることが客観的に明らかになっていることが必要である。
ただし、最も高い地域指数を乗じた一般賃金の額と、全ての協定対象派遣労働者に適用される賃金の額が同等以上であることを確認できる場合は、この限りでない。
Q4.賃金テーブル上、職務のレベルに応じて等級を設けるとともに、昇給レンジとし
て号俸を設けている。その際の能力・経験調整指数の当てはめ方はどうなるの
か。
A4.基本的に労使で議論し決定するものであるが、例えば、各等級に属する派遣労働者が従事する業務の内容、難易度等が、一般の労働者の勤続何年目に相当するかを判断していただいたうえで、法第 30条の4第1項第2号ロ(※)の対応として、号俸の中で賃金を向上させることが考えられる。
そのほか、号俸の中で、業務の内容、難易度等のレベルに差がある場合は、例えば、1級1号俸~5号俸の派遣労働者を基準値(0年目)とし、1級6号俸~10 号俸の派遣労働者を1年目相当とするように、同じ等級の中で能力・経験調整指数の当てはめ方を変えることも考えられる。
※派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項の向上があった場合に賃金が改善されるものであること。
Q5.協定対象派遣労働者の賃金について、月給から時給に換算する際に、1円未満の
端数が生じた場合はどのように処理すればよいか。
A5. 一般賃金の額と同等以上であることが必要であるため、算出した結果、1円未満の端数が生じた場合には、当該端数は切り捨てて、切り捨て後の協定対象派遣労働者の賃金の額と一般賃金の額を比較することとなる。
▲退職金
Q1.局長通達第3の3(3)「中小企業退職金共済制度等に加入する場合」につい
て、「この「等」には、例えば、派遣元事業主が独自に設けている企業年金制度
が含まれるものであること」とされている。企業が独自に設けている退職一時金
の費用を事業主が負担している場合、局長通達第3の3(3)「中小企業退職金
共済制度等に加入する場合」として取り扱うことは可能か。
A1.貴見のとおり。
Q2.局長通達第3の3(3)「中小企業退職金共済制度等に加入する場合」につい
て、確定給付企業年金等と併用して、企業が独自に設けている退職一時金を協定
対象派遣労働者に支給しているが、両者の掛金等を合算して、一般退職金(一般
基本給・賞与等に6%を乗じた額)と比較することは可能か。
A2.貴見のとおり。
Q3.局長通達第3の3(3)「中小企業退職金共済制度等に加入する場合」について
は、協定対象派遣労働者の一般基本給・賞与等の総額の6%と同等以上の掛金拠出であればよいか。
A3.貴見のとおり。
Q4.退職金を支払っていない場合に、一般賃金の額と同等以上の額を確保するために
はどうすればよいか。
A4.退職金を支払っていない場合には、協定対象派遣労働者の賃金(通勤手当を除く。)の額が、一般基本給・賞与等の額に「一般基本給・賞与等に6%を乗じた額(1円未満は切り上げ)」を加えた額と同等以上であることが必要(例えば、一般基本給・賞与等が 1,000 円の場合は、協定対象派遣労働者の賃金の額が、「1,000 円+(1,000 円×6%)=1,060 円」と同等以上であることが必要)。