1.希望者全員を対象としなければならないか?
A.心身の故障のため業務に堪えられないと認められること、勤務状況が著しく不良で
引き続き従業員としての職責を果たし得ないこと等就業規則に定める解雇事由又は退職事由
に該当する場合には、継続雇用しないことができる。ただし、継続雇用しないことについて、
客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であることが求められると考えられることに
留意が必要である。(通常解雇と同じ考え方)
また、経過措置により、平成25年3月31日までに労使協定を締結していれば、対象者を
労使協定により限定できる。
【就業規則の記載例】
(解雇)
第○条 従業員が次のいずれかに該当するときは、解雇することがある。
(1) 勤務状況が著しく不良で、改善の見込みがなく、従業員としての職責を果たし得な
いとき。
(2) 精神又は身体の障害により業務に耐えられないとき。
(3) ・・・
・・・
(定年後の再雇用)
第△条 定年後も引き続き雇用されることを希望する従業員については、65歳まで継続雇用する。ただし、以下の事由に該当する者についてはこの限りではない。
(1) 勤務状況が著しく不良で、改善の見込みがなく、従業員としての職責を果たし得ないとき。 |
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→就業規則の解雇事由又は退職事由と同じ内容を、継続雇用しない事由として、規定することは可能である。
なお、就業規則の解雇事由又は退職事由のうち、例えば試用期間中の解雇のように継続雇用しない事由になじまないものを除くことは差し支えないが、解雇事由又は退職事由と別の事由を追加することは、継続雇用しない特別な事由を設けることになるため、認められない。
2.継続雇用制度を導入していなければ、60歳定年による退職は無効となるか?
A.高年齢者雇用安定法は、事業主に定年の引上げ、継続雇用制度の導入等の
高年齢者雇用確保措置を講じることを義務付けているものであり、
個別の労働者の65歳までの雇用義務を課すものではない。
したがって、直ちに無効とはならないが、高年齢者雇用安定法違反となるので、
公共職業安定所の実態調査、助言、指導、勧告、企業名公表のリスクがある。
3.嘱託やパートなど、従来の労働条件を変更する形での継続雇雇用は可能か?
A.可能である。
4.1年ごとに雇用契約を更新する形態でもいいのか?
A.①65歳を下回る上限年齢が設定されていない、②65歳までは、原則として契約の更新
(▲但し、能力など年齢以外を理由として契約を更新しないことは認められる。)
が必要であると考えられるが、個別の事例に応じて具体的に判断されることになる。
5.55歳の時点で、①従前と同等の労働条件で60歳定年で退職、②55歳以降の労働条件
を変更した上で、65歳まで継続して働き続ける、のいずれかを労働者本人の自由意思に
より選択するという制度を導入でも問題ないか?
A.高年齢者が希望すれば、65歳までの雇用が確保される仕組みであれば問題ない。
6.定年退職日から1日の空白があってもだめなのか?
A.直ちに法違反とまではいえず差支えないが、定年後相当期間をおいて再雇用する場合には、継続雇用制度とはならない場合がある。
7.労働条件が合意できず、本人が継続雇用を拒否した場合も違反になるか?
A.定年退職者の希望に合致した労働条件での雇用を義務付けるものではなく、
合理的な裁量範囲の労働条件提示であれば、法違反とはならない。
8.定年後の就労形態をワークシェアリングとし、週3日勤務で概ね2人で1人分の業務担当
でも問題ないか?
A.勤務日数や勤務時間を弾力的に設定することは差し支えない。
9.有期契約労働者に関して、就業規則等に一定の年齢(60歳)に達した日以後は
契約の更新をしない旨の定めをしているが違反となるか?
A.高年齢者雇用安定法第9条は、主として期間の定めのない労働者に対する継続雇用制度
の導入等を求めているため、有期労働契約のように、本来、年齢とは関係なく、一定の期間
の経過により契約終了となるものは、原則として、別の問題であると考えられる。